取り組みの一例を動画で紹介
事業者紹介
いわき魚類株式会社
福島県の漁業は、いまだ風評被害と戦い続けています。そして、「常磐もの」の高品質が消費者に十分伝わっていないという大きな課題もあります。
このプロジェクトを通じて、消費者の皆さまに「常磐もの」への興味を持っていただき、「食べてみたい!」「もっと食べたい!」と思うファンを増やしたいと願っています。
また、消費の受け皿を確保・拡大することで、将来的には福島県の漁業がさらに発展し、人材も確保できる未来を目指します。
今年度の取り組み概要
常磐ものの現状
いわき市中央卸売市場
水揚げされたカツオ
福島第一原発のALPS処理水放出により、2023年8月から中国は日本産水産物の輸入を停止し、輸出量は約8割減少しました。令和3年に本格的な漁業操業が再開されたものの、漁獲量は震災前の20%にとどまっています。国内では福島県産水産物を支援する声が高まるも、これは一時的なものであり、将来的なPR活動が必要です。しかし、地元の中小メーカーは輸出に興味があるものの、実行手段が不足しています。
常磐ものの魅力を伝えるためには、消費者にその美味しさを実感してもらうことが重要です。福島の漁業者が生業を守り、魚食文化を継承するためには消費の維持と拡大が不可欠で、特に海外市場に向けた水産のハブ機能が必要です。これを実現することで、福島の未来と誇りを支える力となります。
常磐ものを「知る・触れる・味わう」ふくしまの魚 魅力発信プロジェクト
Food Japan 2024(シンガポール)への出展
カラフル魚拓
本年度は、「常磐もの」を「知る」「触れる」「味わう」「広める」「流通させる」をコンセプトに、以下の3つの事業を実施します。
【1】福島県水産物への疑心感払拭・信頼獲得・販路開拓事業~Food Japan 2024 シンガポール出展PR事業~(新規取組)
【2】福島県水産物への疑心感払拭・信頼獲得・販路開拓事業~シンガポール商談フォローアップ事業~(新規取組)
【3】親子体験プログラム「市場見学&カラフル魚拓&おさかな料理教室」(昨年度より継続)
事業【1】【2】では、常磐ものの加工品を出展し、伝統的な製法や食文化の魅力をPRし、将来の流通に繋げます。いわき魚類が元卸としての強みを活かし、浜通りの水産加工事業者と連携して市場に魅力を発信します。
事業【3】は、親子で参加できる体験プログラムを通じて、子どもたちに常磐ものへの親しみを持たせ、長くファンになってもらうことを目指しています。鮮魚や水産加工品を使い、専門家からその魅力を学び、実際に触れて食べることで美味しさを実感してもらいます。
このプロジェクトを通じて、常磐ものへの心理的・物理的な距離を縮め、「食べてみたい」「もっと食べたい」と思うファンを増やし、福島県の漁業がさらに発展し、新たな人材を迎える未来を目指します。福島の誇りである常磐ものの魅力を広く伝え、応援してくれる仲間を増やしていきます。
過去の実績
「プロがおしえる!おさかなちゃんねる」簡単で楽しい料理動画の配信
YouTubeチャンネル「プロがおしえる!おさかなちゃんねる」を開設し、常磐ものを使ったレシピ開発と調理動画を公開しました。福島県内だけでなく全国に向けて、「常磐もの」の品質を広く紹介し、簡単に作れる魚料理を提案しました。魚食の促進を目指し、令和4年度と5年度に計22本の動画を公開。再生回数は20万回以上、チャンネル登録者数は約4,600人という大きな成果を上げました。
実施日時:令和4年度~継続中
実施場所:
親子体験プログラム『カラフル魚拓とおさかな料理教室』の開催
地元福島県民に「常磐もの」をもっと知ってもらい、ファンになってほしいという思いから、親子を対象にした体験イベントを実施しました。このイベントでは、実際に見て触れて食べることで、子どもの頃から「常磐もの」への愛着を育み、将来にわたってファンになってもらうことを目指しました。
イベント後の満足度調査では、「また参加したい」「もっと魚や常磐ものについて知りたい」といった声が多く寄せられ、高い評価を得ました。また、継続開催を望む声も多数ありました。
実施日時:2023年8月19日(土)、2023年9月2日(土)
実施場所:いわき市中央卸売市場
首都圏PRプロジェクト『~まだ見ぬ常磐ものの世界~至極のフルコース』の開催
著名な一流料理人による「常磐もの」を使った極上料理を提供するガラパーティを開催しました。メニュー開発は、ミシュラン1つ星の「銀座やまの辺 江戸中華」の山野辺仁氏に依頼し、国内料理人への「常磐もの」認知機会を広げました。一流シェフとの連携で、「常磐もの」は日本酒やワインと楽しめる「品質の高い魚」として評価されました。
イベント後は、常磐ものの水産物の仕入れや取引に関する問い合わせが増え、実際に食材として採用されています。
実施日時:2023年11月12日(日)
実施場所:銀座 やまの辺 江戸中華
令和6年度の取り組み実績
事業①:Food Japan 2024(シンガポール)出展PR事業
実施日時:2024年10月24日~26日
実施場所:サンテックシンガポール
蒲鉾の試食と意識調査
現地バイヤーとの商談
本事業は、福島県浜通りの水産加工品を広め、持続的な流通を確保するための取り組みです。いわき魚類が元卸として、浜通りの水産加工事業者を支援し、シンガポールで開催されたアジアの水産市場向け展示会に出展しました。福島産の蒲鉾、メヒカリ、シラス、干物など27種類の水産加工品を紹介し、現地消費者やバイヤーにその品質と多様性をアピールしました。特に、蒲鉾の試食を通じて、現地で直接味わってもらい、反応を得ることができました。
展示ブースでは、安全性と高品質を強調するポスターやチラシを使用し、福島産水産物への信頼感を高めました。また、試食と意識調査を実施し、現地消費者の認識や嗜好を把握することができ、シンガポール市場における商品展開に向けた貴重なデータを収集しました。
商談活動では、現地バイヤーとの接点が増え、一部の商品については取引のアポイントメントも確保しました。これにより、シンガポール市場での販路拡大に向けた道筋が立ち、次回の商談に向けた準備が整いました。
本事業は、福島産水産物のブランド認知を高め、シンガポール市場での販路拡大の基盤を築く重要な一歩となりました。
事業②:シンガポール商談フォローアップ
実施日時:2024年11月13日~16日
実施場所:シンガポール国内
シンガポールの店舗視察
現地事業者との商談
本事業は、FoodJapan2024出展PR事業のフォローアップとして、シンガポール市場での商談継続を目指す取り組みです。展示会で得た繋がりを活かし、現地事業者との商談を継続的に行い、確実な取引を進めています。また、水産加工品に加えて、福島県で水揚げされた鮮魚を現地に出荷し、鮮度や荷姿を確認してもらった後、実際に調理・試食を通じて品質と味を評価する機会を提供しました。
さらに、現地バイヤーとの関係を深め、福島産水産物の品質や安全性に対する関心を再確認。シンガポール市場のニーズに対する理解が深まり、商談が実を結びました。最終的に3社との商談が成立し、福島産水産物の取引が進展しました。
この取り組みにより、福島産水産物の認知度と取引の拡大が進み、シンガポール市場での販路開拓が実現しました。
事業③:親子体験プログラム「市場見学&カラフル魚拓&おさかな料理教室」
実施日時:2024年9月21日
実施場所:いわき市
いわき市中央卸売市場の視察
カラフル魚拓
本事業は、地元福島県民の方々が「常磐もの」をあまりよく知らない現状に対し、実際に見て触れて食べてみる機会を提供する取組みです。
いわき市中央卸売市場での水産物見学や競りの体験を通じて、子どもたちに福島の水産物の魅力や漁業の重要性を伝えることができました。特に、親子で楽しめるカラフル魚拓作成やおさかな料理教室を通じて、子どもたちが福島の水産物に親しみ、食文化への関心を深めることができました。また、親子で一緒に料理を作ることで家庭内での食育が進み、将来的なファンの育成にもつながると期待されます。
イベント終了後には、参加者の満足度や「常磐もの」に関する意識調査を実施しました。参加者からは「また参加したい」といった声が多く寄せられ、継続的な開催のニーズが高いことが確認できました。
さらに、イベントの様子を自社のYouTubeチャンネルで公開し、地域外の消費者や食育に関心のある人々にもアプローチしました。動画を通じて福島産水産物への関心を集め、広範な消費者層に向けて情報発信ができました。動画の再生回数は約19,550回に達し、地域外の消費者の購買意欲向上にも寄与しました。